
妹からの「ブックトートのようなバッグが欲しい」という一言から始まった今回の制作。
今回は、前回同様に「博多献上帯」を使い、日常にも、ビジネスシーンにも自然に馴染むデザインに挑戦しました。
伝統ある素材を今の時代にどう活かしたのか、制作の裏側をご紹介します。
なぜ「博多献上帯」でバッグを作ったのか?
博多献上柄は、江戸時代に幕府へ献上されたことがその名の由来です。
もともと丈夫で締めやすく、男性用の角帯としても親しまれてきた博多献上帯。そのしっかりとした織りと端正な縦柄には、実用品でありながら凛とした美しさがあります。
そんな背景を持つ帯だからこそ、「ビジネスバッグ」という形に自然と結びつきました。
武士が日々身に着けた帯が、時代を超えて現代のノートパソコンや書類を運ぶバッグになる。そ
んな物語を想像しながら制作を進めました。
デザインのこだわり:柄の見せ方を追求する

パターンは比較的早く決まりましたが、一番時間がかかったのは「柄の配置」です。
博多献上帯特有の独鈷柄(どっこがら)は存在感が強く、配色は赤と黒。
さらに今回は半帯(幅が狭いもの)を使用するため、柄のつなぎ方ひとつでバッグの印象が大きく変わります。
配置を試行錯誤した結果、今回はシンプルにすっきりと。「独鈷柄と縦模様を際立たせる」という結論に至りました。
軽さと利便性――毎日使いたいバッグにするために



A4サイズやノートPCが入るバッグは、それ自体が重くなりがちです。
今回は「毎日使いたくなる軽さ」を最優先に考えました。
- 軽さへの工夫: 本革も検討しましたが、軽さを優先してハンドルなどのパーツにはあえて合皮を採用。
見た目の高級感と実用性を両立させました。 - 内側のこだわり: 物が出し入れしやすいよう、裏地には滑りの良いレーヨンシャンタンを使用。ポケットはあえて「1つ」に。バッグインバッグ派の方の邪魔にならぬよう、引き算の設計です。
- 機能性: マグネットホックは少し大きめのものを選び、開閉時のストレスを軽減しています。
制作を終えて:伝統の美しさを日常へ

完成したのは、決して甘くはない、凛とした渋いバッグ。
SNSに投稿したところ「販売していたら買いたい」との温かいコメントをいただき、
自分の目指したデザインが誰かに届いたことを実感できました。
このバッグを作ってみて、「博多献上帯にはまだまだ可能性がある」と感じました。
サイズ違いや色違いなど、これから少しずつ形を増やしていきたいと思っています。
博多献上帯を、一枚の美しいファブリックとして。
これからも、今の暮らしになじむバッグづくりに挑戦していきたいと思います。

