
「博多献上帯でトートバッグを制作|着物リメイクをもっと日常へ」着物リメイクを始めて、これまでいろいろなものを作ってきました。
その中で、私がずっと考えていることがあります。
それは、
「着物リメイクだからこそ素敵」だけではなく、
「これなら普段の生活で使ってみたい」と思ってもらえるものを作りたい。
ということ。
着物や帯には、日本ならではの美しさがあります。けれど、「着物リメイク」という言葉からイメージするものは、どこか特別なものだったり、普段の生活では少し使いにくいものだったりすることもあります。
せっかく素敵な素材なのだから、もっと日常の中に取り入れてもらえたら。そんな思いから、私は「垢抜けたデザインで、日常生活に自然になじむ着物リメイク」を意識して制作しています。
着物リメイクらしさと、普段使いのバランス

今回制作したのは、博多献上帯を使ったトートバッグです。
博多献上帯の特徴でもある縦の柄を生かしながら、バッグそのものはできるだけシンプルに。
私は少し派手だったり、パンクっぽかったりするものも好きなので、作品のどこかには自分らしさを入れています。ただ、そこを全面に出してしまうと、どうしても好みが分かれてしまいます。
だから、
「自分の好き」だけで作るのではなく、
「多くの人が持ちたいと思えるもの」にする。
そのバランスを大切にしています。
これは、これからの私のものづくりでも大切にしていきたい部分です。
なぜ、この形のバッグにしたのか
今回、このトートバッグの形を選んだのにも理由があります。
個性的な形のバッグも魅力的ですが、今回はあえて、比較的多くの人が使いやすい形を選びました。
A4サイズが入る大きさで、マチは約12cm。
普段のお出かけにはもちろん、荷物をしっかり入れたいときにも使えます。
さらに、シンプルな形なので、仕事用のバッグとしても使えるデザインです。
着物リメイクだからといって、「特別な日に持つバッグ」にする必要はありません。
- 仕事に行くとき。
- ちょっと出かけるとき。
必要なものを入れて、いつもの服に合わせて持つ。
そんなふうに、普通の日常の中で自然に使ってもらえるバッグを目指しました。
「おしゃれ」だけではなく、使いやすさも大切に
バッグを作るとき、デザインだけを考えているわけではありません。
実際に使うものだからこそ、重さや使いやすさも重要です。
今回のバッグでは、本革も取り入れてみました。
使用したのは、
- 持ち手
- 金具部分
です。
一方で、パイピングやバッグのトップ部分、内ポケットの飾りなどには合皮を使用しています。
本革は高級感があり、耐久性という面でも魅力があります。
ただ、本革を使えば使うほど、バッグは重くなり、価格も上がります。

そこで今回は、実際に使ったときのことを考えながら、本革と合皮を部分的に使い分けました。
そして完成したバッグの重さを測ってみると……
491g。
500gを切りました。
博多献上帯そのものが比較的軽い素材なので、バッグとしての存在感を保ちながら、できるだけ軽く仕上げることができました。
商品にするなら、「素材を選べる」という考え方

今回、本革を使って制作してみて、あらためて感じたことがあります。
それは、すべての商品を同じ仕様にする必要はないということ。
商品化するときには、使う帯の種類やデザイン、そして価格帯によって、本革と合皮を使い分けていきたいと考えています。
本革の質感や素材感を好む方もいる。
一方で、
「できるだけ軽いほうがいい」
「普段気軽に使いたい」
という方もいる。
どちらが正解ということではなく、使う人にとって何が一番便利なのかを考えて素材を選んでいきたいと思っています。私自身は、バッグについては特に「利便性」を大切にしたいと思っています。
長く使ってもらうために



もうひとつ、制作するときに考えていることがあります。
それは、購入していただいた後のことです。
バッグは、何年も使っていれば、持ち手や金具など、どうしても傷んでくる部分があります。
でも、傷んだからといって、すべてを捨てなければならないわけではありません。
修理できる部分があるなら、できるだけ修理して、また使ってもらえるバッグにしたい。
そのためにも、最初から「後で修理できるか」ということまで考えながら作っていきたいと思っています。
着物や帯という、もともと長く使われてきた素材を扱っているからこそ、その先まで考えたものづくりをしたい。
これは、これから商品を作っていく上でも大切にしたい部分です。
サステナブルを、もっと身近なものに
最近は「サステナブル」という言葉をよく耳にします。
着物リメイクも、その考え方と相性の良いものだと思います。
ただ、「サステナブルだから使いましょう」と言われても、少し構えてしまう人もいるのではないでしょうか。
私は、もっとシンプルでいいと思っています。
「これ、素敵だから使いたい。」
その気持ちの先に、結果として「ものを大切に長く使う」ということがあればいい。
難しい言葉や特別な意識がなくても、普段使っているバッグが着物や帯から生まれたものだった。
そして、壊れたら修理してまた使った。
それだけでも十分だと思っています。
だから私は、サステナビリティを前面に押し出すのではなく、「欲しい」「使いたい」と思えるものを作ることを大切にしたいと思っています。
きれいに作ることへのこだわり


今回のバッグでは、もうひとつ意識していたことがあります。
それは、きちんとしたものを作ること。
柄の配置だけではなく、縫製や仕立ても含めて、できるだけきれいに仕上げたい。
手作りだから多少ラフでもいい、という考えではなく、
「手作りだからこそ、ここまできれいに作れる」
と思ってもらえるものを目指したいと思っています。
もちろん、完成してみると「ここはもう少しこうしたかった」というところもあります。
次に改善したいところもいくつか見えてきました。
でも、それも含めて、次の制作につながっていく。
久しぶりに「楽しい」と思えた
今回のバッグを作っていて、少し不思議なことがありました。
前回のバッグ制作に続いて、久しぶりに、
「作るのって楽しいな」
と思えたことです。
この「楽しい」という感覚は、しばらくなかったような気がします。
なぜ、今回はそう感じたのか。
自分でも、はっきりした理由はわかりません。
ただ、最近は少しずつ、
「これから、こういうものを作っていきたい」
という方向が見えてきたような気がします。
ただ作るのではなく、
- どんな人に使ってほしいのか。
- どんな場面で使ってほしいのか。
- どんな素材を使うのか。
- どこまできれいに仕立てるのか。
そして、購入していただいた後のことまで考える。
そうやって考えながら作っていると、制作そのものが少しずつ面白くなってきました。
着物リメイクを、もっと身近に
私がこれから目指していきたいのは、
「着物リメイクだから特別」ではなく、
「普通に素敵だから持っている」
そんなものです。
着物リメイクということを知らなくても、
「そのバッグ、素敵ですね」
と言ってもらえる。
そして、「実はこれ、博多献上帯から作っているんです」
と話したときに、「そうなんだ!」
と、着物リメイクに興味を持ってもらえる。
そんな順番でもいいと思っています。
今回のバッグは、私にとってそのための最初の一歩です。
まだまだ課題はあります。
もっときれいにできるところもあるし、もっと使いやすくできるところもある。
素材の組み合わせも、デザインも、これから試していきたい。
でも、ひとつ作ったことで、次に作りたいものが少し見えてきました。着物や帯が、特別なものとしてしまわれたままではなく、もう一度、日常の中で使われるものになるように。
「着物リメイクって、こんなものも作れるんだ」
と思ってもらえるようなものを、これからも作っていきたいと思います。
そして何より、
作ることを、もう一度楽しみながら。
今回は長々と書いてしまいました、最後までお読よみいただきありがとうございました。

